工夫と実践
6月14日(土)に行われた「みやざき教育ICTフォーラム」を報告します。
開会挨拶の後、発表1「小学校における普通授業でのICT活用事例」海部義人氏(ダイワボウ情報システム㈱)から始まりました。
実践校での事例や担当された先生の感想動画などを交えて、ICT活用場面をうまく整理されていました。
操作については、撮影・記録、視聴・閲覧、入力、書き込み・描画、移動・拡大などがあり、内容については、振り返り、理解を深める、アイデア・意見、引き出し・集約、話し合いのペース、集中・焦点化があるということでした。
さらに「教育の情報化」として、各段階に応じたICT活用ができるとして5つのステップを紹介されました。( )内は授業スタイル。
1,先生に1台 (一斉授業)
2,グループに1台(一斉授業+協働学習)
3,1教室分 (一斉授業+協働学習+個別学習)
4,複数教室分 (一斉授業+協働学習+個別学習)
5,1人1台 (一斉授業+協働学習+個別学習)
次ぎに発表2「ICT教育を生かして魅力的な高校国語の授業がしたい ~教職大学院まで行ってきました~」橋口和歌子氏(都城西高等学校)の報告です。
勤務校が進学校で45分授業、授業内容の多さ、多様さで、職場の多忙感もあり、ICTについて聞くに聞けない……状況があるとのことでした。
自らの授業力の自信のなさと国語科授業でICT機器を持ち込むことへの批判的意見などがあり悩まれていたそうです。
そこで、宮崎大学教職大学院に1年間内留し、教材研究、計画、授業実践、検証、授業改善(PDCAサイクル)の各段階や理論的・経験的根拠をもって授業できるという実感、具体的なICT活用の知識の拡充などで自信がついたということです。
現代文では、授業プリントをスクリーンに投影。ねらいは板書の時間を短縮、思考する時間を確保することで、映画「羅生門」をプロジェクターで見せることもあったそうです。
古文では飽きさせない視聴覚資料を準備。ねらいはとにかく、正確な文法理解と現代語訳をさせることで文法にフラッシュ教材なども使われ、漢文では理解を助ける視聴覚資料を準備、漢文句法・現代語訳を理解させることにICTを使われたそうです。
発表3「宮崎工業 高等学校でのICT活用授業の実践報告」釘崎隆史氏(都城工業高等学校)では、ICTに取り組むきっかけが、50分間授業に集中させる、専門の楽しさや面白さを伝えるという思いから始めたそうです。
生徒の現状を興味関心の変化(多様化 希薄化)、学習パターンの変化(何でも記憶)想像力の不足ととらえ、次のように授業を工夫されたそうです。
1)興味を持たせる授業
イメージを持たせる
・動画の活用
・教科書にない資料の提示
2)理解させる授業
・手元にある教材と同じものを映す
・振り返り
3)集中させる授業
集中力を切らさない工夫
・板書の時間を短縮
・演習の時間確保
タブレットの主な活用例として、インターネットを使った調べ学習、サーバにある資料を活用(授業で使用したプレゼンデータ、能力別課題,模範解答,教科書にない資料)、発表するツールなどを挙げられました。
使ってみた結果、生徒は・学習に意欲的・協働学習(学び合い学習)が活発・能力別(課題学習,振返り学習)が可能・わかりやすいなどの印象を持ったそうです。
ただ、職員には導入に温度差があり、操作の不安,教材作成の時間確保が課題ということでした。
結論として、ICT機器は思考力・判断力・表現力を高めるツールとして重要であり、デジタルとアナログの融合が大事で、授業デザインの再検討が必要になるということでした。
授業の内容により、またインフラ整備の段階によっても、様々なICTの使い方があることがわかります。それぞれ工夫と実践をされ、これだという正解はないように思われました。次回はその後に行われたワークショップについては報告します。