戸惑いと不安
6月14日に行われた教育ICTフォーラムの第二部「ワークショップ」の報告です。5つのグループに分かれて、効果と課題、解決策についてそれぞれ意見を出し合ってもらいました。
【効果】
・生徒の集中力を高めることができる
・授業に対する興味を喚起しやすい
・動画等、直感的にわかりやすい
・視覚的に物事をとらえることができる
・教科書に書かれていない情報を提供できる
・学習のまとめに有効(個別化、遅れている生徒の対応など)
・プロジェクターを利用して板書時間が節約できる
・授業のふりかえりに便利
・フラッシュカード等を使った基礎基本の定着に使える
・何度でも視聴することができる
・一度作成しておくと修正加筆が簡単
・ワークシートなどの作成時間の短縮
・生徒の進み具合に対応できる(解答の提示等)
・個々の生徒の間違いや正解を全体で共有できる
・テストなどデータを取り込めば個人ごとの理解度がわかる
・チームティーチングがやりやすい
・タブレットを使うと話し合いの場が作りやすい
・他教科との連携がやりやすい
・教師と生徒の双方向の学びあいができる
・タブレットは場所を選ばない、教室内を移動できる、生徒との距離が近くなる
・学びが実生活や社会と結びついて実感しやすい(意欲の高まり)
・タブレットに対して生徒は積極的
【課題】
・通信環境の整備
・ネット環境が安定しないと授業も安心して実践できない
・インターネットにつながる環境をどう確保するか
・教室の設備に費用がかかる
・機器の台数確保
・機器の私物化と故障が心配
・費用対効果だが、数値化、可視化が難しい
・学習目標の達成がゴールではなく、活用すること自体がゴールになってしまう
・メンテナンス等を現場の先生にまかせるのでは?
・設定に準備がいる。手間がかかりすぎる
・障害の発生率が高い
・機器の管理は教師の負担
・コンテンツを作るのに時間がかかり、結構大変
・先生方の温度差、スキルの格差、個人差がある(興味や利活用の有無)
・先生のしたいこととシステムのできることにミスマッチがある
・ICTを使うことだけに振り舞わされる
・デジタル教材があるだけでは、どのような使い方ができるのかわからない
・自作の提示資料作成の労力と時間
・生徒の理解力の差をどこまでカバーできるかわからない
・若手教諭育成のツール、技術の継承をどうするか
・教育だけでなく整備した環境を災害対策等にどう活かすか
・現場でもICT導入、活用する方法を学ぶ、教え合う環境整備が必要ではないか。まだ、やらされ感が強い
・生徒が能動的に関わる場面をいかに創り出すか
・漢字力が不足する
・情報教育では何を共通基盤とすべきか
・協働学習については評価がしにくい
・効果の可視化がわかりにくい
・プレゼンは容易となるがどう思考させるか。
・考えさせる、問題意識を持たせるのに役立つか
・思考力や自分で学ぶ力をつけるためにどんな方法があるのか
・情報源が限られ、事象等にたいする深化が図りづらい
・費用が家庭にまで及ぶときにどうするか
・タブレットがゲーム化しないか
・研修体制を整える、支援体制
・校内、県、市等で積極的なICT研修
・市、県レベルで新課程の教材を共有できる環境整備
・情報の共有(授業の成功事例など)
・学習効果の検証(アンケート、数値化)
・まず教員用を整備して欲しい
・先生の意見の吸い上げが大事
・ICT支援員が必要
・企業では誰でも使えるシステムの開発や活用事例の提示を行っている
実際にICT機器を使って受業をされている先生方はまだ少なく、不安や課題に多くの意見が集まりました。効果や評価がまだ見えないという実態があるなかで、積極的に使ってみようという姿勢もうかがえます。
今後、教材、学習ツールとしてICT機器は確実に導入されてきます。基本は先生方の指導力、授業力です。その研修のなかで、ICT機器を意識していくことが大事でしょう。
そのために、使いやすい機器、スキルの共有、インフラ整備、外部支援などを求めながら、今回のような授業実践報告やファーラムを地道に積み上げていくしかないと感じました。