量から質へ
今、本校では「量から質へ」の転換がいろんな場でいわれます。「何のためのICTか?」を考えることは、まさに量から質へのキーワードになると思っています。
例えば、「あなたは大震災復興計画プロジェクトチームの一員に選ばれました。世界中から各分野のエキスパートが集められ、協議しながら復興のための青写真を作らなければなりません。その現場を想定しながら、そのために必要な能力とは何か考えてください。また、その能力を育むためにどのような勉強が最適か考えてください。」という問題が出たとします。
それに対して、語学力、会話力、表現力、批判的思考力、問題解決能力などはすぐに思いつきます。ではどうやってそれらを培うかということです。次のようなことを考えてみました。つまり「量から質へ」を別のことばに置き換えてみたらという発想です。
1.暗記から思考へ:状況を読み取るには読解力を鍛える。感性を磨く(読書を含め芸術鑑賞を重視する)
2.仕事から役割へ:何をしたいかではなく、何を求められているかを考える(お手伝いの重要性)
3.知っているから使えるへ:何を知っているかではなく、何ができるかを尊重する
4.答えから問いへ:学問とは問いを学ぶこと、柔軟な問いが新たな発想を生む
5.論理から物語へ:論理を組み立てる前に具体的な物語を構想できるかが説得力を持つ
6.直接語から比喩へ:他の言葉に置き換える連想こそ理解を深め、相手に伝わる手段となる
7.文字からデザインへ:ことばから図形やイメージへはグラフ化の一歩(ブロック遊びは発想の宝庫)
8.結果から過程へ:気づきは過程のなかに潜む、結果からは何も見えない
9.模範から独創へ:模範解答はすでに古い、使いものにならない
10.競争から共創へ:共同作業の楽しさからアイデアは生まれる
11.個人から組織へ:チーム、グループが個人の質を高める
12.均一から多様へ:多様性のなかに刺激が生まれ、個性を磨く機会となる
13.習熟度から自然学級へ:レベル差を越えて助け合うなかから、表現力は鍛えられる
14.苦から楽へ:いかに楽をするかが効率的な発想を生む(これ、とても大事)
15.与えるから探させるへ:ベテランになるほどこれがうまい。そのコツが共有できれば
16.急がせるから待つへ:自発性が思考力を鍛える。かつて「待ちの子育て」ということばが流行りました
17.アナログからプラスデジタルへ:デジタルはアナログを豊かにする手段と思え
18.紙からデジタルへ:量から質への大事なヒント
などなどです。言った本人にそのまま返ってきそうですが、それらを図る手段として情報教育(ICT機器活用)は有効だと思われるのですが、いかがでしょうか。