宮崎県における校内LANの現状
7月13日(水)に文部科学省の情報化実態調査の結果(速報)が記者発表されました。
「学校におけるICT環境の整備状況」や「教員のICT活用指導力」を総合すると、宮崎県(高等学校)は3年連続、全国最下位になっております。このレベルを上げることも、当会の目的になっていますが、以前、校内LAN(校務の情報化)について調査、提言したことがあります。再度、その内容(抜粋)を確認しておきたいと思います。
- 現状(平成21年3月に県立学校20校を抽出調査)
- 校内LANの範囲は、普通教室まで広げて整備している学校は少ない。全職員室と、一部の職員室にとどまっている学校とに、二分される。後者には特別支援学校が多い。
- 校内LANの種類は、サーバー・クライアント方式がほとんどであるが、一部ピア・ツー・ピアの学校もある。また、個人持込パソコンをクライアントとして利用している学校が多い。
- ユーザー登録は、ほとんどの学校でドメイン管理(IDとパスワード設定)をしている。
- サーバ機の場所は、サーバールームを整備している学校が増える傾向にある。次に準備室、事務室の順となっている。
- 管理台帳は、PC台帳(個人用も含む)はほぼ整備してあるが、ネットワーク系統図、利用規程は半数の学校で整備されていない。
- 校内LANの用途は、インターネット、プリンタ、ファイル共有の利用が主であり、成績処理が7割程、グループウェアは3割程度である。
- 校内LANの設定は、業者設定が半数程あるが、LANに詳しい教職員も関わっている。
- 校内LANの管理者は、保守管理を業者に委託している学校が半数近くあるが、日常的には教職員が関わっている。
- 校内LANの予算は、県費予算が措置されていないため、あらゆる費目(県費、私費、団体費等)を工面しながら整備している。
- 校内LANの課題は、保守管理、組織・規約、研修をあげる学校が多い。保守管理については多忙化のなかでICTに詳しい教職員が担っており、組織や規約についても不明確で、研修の必要性は感じながらも後回しにされている実態がうかがえる。
- 問題点
- 統一的な基準や仕様がないため、整備、活用面で学校間格差が大きい。
- 素人任せ、安価な装置で、保守や危機管理に問題のある整備が行われている。
- 利用規程や各種台帳、系統図がなく、トラブル処理や管理に問題がある。
- 校内LAN未整備の学校では、USBメモリ等外部記録媒体の使用が多い。
- 職員作成のスケジュール管理や成績処理はサポートや継続性に問題を抱えている。
- 学校ごとに環境が異なるため、異動のたびに、新たな操作方法を習得しなければならい。
- 情報化のかけ声とは裏腹にビジョンや予算計画がなく、多忙化により管理する者がいない。
- PC1人1台になっても、利用基準や校務システムがないと使われないケースがでてくる。
- 結果として、配布PCが十分に活かされず、かなりの予算、時間、設備の無駄につながる。
- 具体的提言
- 全県立学校の校内LANの実態調査を行う。
- 県立学校IT教育推進モデル事業(平成13年度)の成果とその後の取り組みを整理する。
- 各分野からなる専門委員会を設け、校内LANに関する中長期計画、統一基準を策定する。
- 学校長会で校内LANの統一整備について、その意義と内容を説明する。
- 各校校務分掌に「情報管理部(仮称)」の設置を推奨し、定期的に主任会等を開催する。
- 基準に達しない学校の機器を、教職員用PC調達と同様、県で一括整備する。
- 「教育ネットひむか」のサーバ類を充実させ、全教職員にメールアカウントを付与する。
- 県立学校校内LANの保守管理を県一括で業者委託する。
- 職員研修を工夫する。(研修センター、情報政策課、外部委託、ICT支援員などの利用)
その後、さまざまな技術(例えば、クラウド・コンピューティングなど)が開発されてきていますが、県の財政力の弱さや技術力の低さをカバーするのが、支援体制だと考えています。
九州内でもさまざまな動きが出てきております。さらに出遅れないように連携や協力をしっかりしていきたいと思います。
校内LAN資料
校内LAN導入の手引(総務省)平成19年3月
校務の情報化(文部科学省委託事業)日本教育工学振興会
「教育分野におけるICT利活用推進のための情報通信技術面に関するガイドライン(手引書)2011」2011年4月8日