学校図書館蔵書管理
第4回教育ICT研修会は、11月9日(水)「学校図書館蔵書管理について」と題して、津江書店の原田浩文氏に報告していただきました。原田氏は、長年、図書販売を通して学校図書館や蔵書管理システムCASAの導入に関わってこられました。
蔵書管理および管理者の変遷について、20年ほど前から蔵書の電子管理が始まったこと、さらに専門的な知識を持った司書の方が少なくなり、図書部主任や制度化された司書教諭の負担が重くなってきていることなどを上げられました。
特に蔵書の電子化によって司書業務もパソコンのスキルが求められることから、そのシステムの研修が欠かせないものになっています。原田氏がサポートしてこられた学校図書館資料管理システム「CASA」について、その内容や操作について説明がありました。
バーコード管理については入力桁数が増加する傾向にあり、また、組織や団体によってさまざな基準が設けられ、その煩雑さも悩みの種のようです。バーコードリーダーの読み取り速度もあり、誤操作の問題も指摘されました。そのシステム設計の開発言語についても話題になりました。
また、ISBN(国際標準図書番号)で図書データを取り込みますが、情報量が増えるにつれて新規格では13桁にもなっており、旧規格10桁との差も出てきているようです。学校毎のデータ割り付けを設けた後は、蔵書データを後から振り直すには、ラベルの張り替えも含めて膨大な労力を要するため、どこの学校も従来からのデータ基準を代えられないままになっているようです。また、新刊本のデータ取得に日数がかかることなどの問題点も指摘されました。
図書館管理ソフトのメリットとして、作業効率の大幅なアップや生徒の図書館への関心、細かな情報の把握が上げられましたが、デメリットとして、システムの運用ミスやメンテナンスが課題のようです。東京都教委は司書の大量退職もふまえて、高等学校への図書館管理システムの導入と図書館管理業務の民間委託を始めたことが報じられていました。今後、この傾向は増えていくかもしれません。
雑談のなかで図書ネット販売大手のアマゾンは事務所が国内にないことから法人税を払わなくていいことになっていることや、学校図書館同士の連携が今後大事になってくること、その他、本屋の実態やデジタル教科書の問題(書き込みができない)、ipadによるデジタル化のことなども話題になりました。
図書は学校になくてはならないものだけに、今後、さらに研修を深めていく必要がありそうです。