九州各県のICT支援の実態

12月18日(日)に「九州ICT教育支援協議会冬季研修会」(熊本市)があり、参加してきました。

今回は、(財)コンピュータ教育開発センターから南部昌敏氏(上越教育大学)、稲垣忠氏(東北学院大学)、田中充氏(CEC事務局)も参加されていました。

今年度CEC内にICT支援(員)についての特別委員会が設置され、その調査研究の一環として、今回、先進地域としての熊本とあわせて九州地区の実情を知りたいと参加されたようです。

広島市や愛知県半田市のICT支援の実態も報告され、そのなかでICT支援員と学校とのコミュニケーションの難しさや派遣要望が多くて予算打ち切りになった例など、多くの問題点が指摘されました。

福岡県には、ICT支援員派遣委託事業があり、民間業者が請負受託し、雇用した主婦などを派遣しているということです。また、九州工業大学の西野和典教授が実施された「情報教育支援士」は、もともとシニア対象であったようですが、ボランティア、スキルアップ、就活などその動機や年齢、性別はさまざまで、すでに90名近くの人が資格を取得されています。しかし、まだ雇用確保は限られているようです。

佐賀県は、首長のトップダウンでICT化が強力に推進されており、市町村を中心に70名ほどの支援員の方が学校常駐も含めて働いているということです。ふるさと雇用創出事業や緊急雇用対策事業などの予算をうまく使いながら、企業委託で学校現場に派遣されています。

熊本県は、すでに11年目になる実績があり、教育研修センターにヘルプデスクを置くなど、ICT支援が充実しています。元NTTの退職者を中心に2年前にNPO法人化されたICTサポートスクエアが業務を請け負っておられます。元技術者など様々な資格取得者を各学校に派遣し、職場でも絶対的な信頼を得ているということです。

宮崎県では、先にこのブログでも報告しましたが、今年度、国の緊急雇用創出事業で県立学校に15名ほどのICT支援員が賃金職員として雇用されています。ただ、単年度予算なので次年度以降が心配です。また宮崎市では情報教育アドバイザーとして11名の方が各学校を巡回されており、先生方のスキルアップにつながっています。

ただ、学校現場でのICT支援員の役割はさまざまで、スキルだけでなく、先生、子どもたちとのコミュニケーション力やコーディネーター的役割、また教育への理解、熱意など必要ではないかとの意見も出されました。支援員の方々も結構ストレスを抱えており、そのメンタルケアも話題になりました。

今後、eラーニングを取り入れたICT支援員の育成と資格化、制度化(理科の実習助手的存在)、海外との比較など、行政への働きかけを強めていく方向性などが示されました.次回は福岡市で開催されます。